遡ること今から20年近く前、めぐみがパティスリーで働きながら、自身の勉強のために焼き菓子を作り始めました。始まりは身内のイベント。続けていく中で、ショップカードや販促物が必要となり、デザインの仕事をしていた真由美が加わり、いつしか2人でギフトを作る様になっていました。喜んでもらえることが嬉しくて、お互い仕事の傍ら、休みの日に、仕事を早く終えた夜に、一生懸命作っていました。そんな日々がつい昨日の事のように感じられます。包みにワクワクして、箱を開けた時にキュンとする。「包装紙と中身が連動して、季節を巡る。全部の季節でそんなギフトが作れたら…」なんていう夢を描く様になっていました。

2018年の春、晴れてアトリエを構えました。(店舗は敢えて持たず、売りたい時に売りに行くスタイルで。)神奈川県川崎市の北部に位置する宮前区。海浜エリアとは違う、畑も多い地域です。地元には、農家さんも沢山いました。「それならば地元の農産品を使ってお菓子やジャムを作ろう。」そんなことを考えていたら、ジャムはどんどん増えていき、年間20種類を越える数になりました。
目指していたのは、駄菓子屋さんのような、タルトも手づかみでかじれるくらい「日常の、カジュアルなお菓子」。なぜ焼菓子なのか?それは、めぐみがパティスリーで働いている時に感じていた「美味しいものを美味しいタイミングで食べてもらえない悲しさ」にあります。いくら美味しいケーキでも、持ち帰りの時間や状態はさまざま。家に持ち帰っても、食べるのが翌日になってしまうことも多々あります。お客様が管理に困らない、好きな時間に好きなように「いつ食べても美味しい」にこだわった結果、焼菓子をたくさん作るようになりました。(絵の通り!描けなかったお菓子も沢山あります。笑)
今でこそ焼き菓子専門店が存在感を示していますが、ケーキ屋さんでは脇役的な存在でしかない焼菓子。でも、その脇役たちも食感や色、見た目も個性的で、季節が十分に出せると思い、作り続けてきました。



地味で目立たないけれど、芯のある子。静かにみんなをまとめる子。華やかでみんなが振り向くあの子。ゴツゴツいかつい、頼もしいあの子。繊細なあの子。例えるなら・・・めぐみ焼菓子店のお菓子は、4年2組の仲間たち!ギフトは教室です!
春夏秋冬、季節の包装紙をまとって移り変わっていく景色。「季節を楽しむ」「気持ちを贈る」は、私たちの願いです。「ありがとう」「元気にしてる?」「頑張って!」季節の焼き菓子やジャム、包装紙やカードを通じて、皆さんの日々の生活の中に、柔らかなコミュニケーションが生まれることを願っています。
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2024年10月16日。パン職人であるめぐみの夫・孝之と、私たちのお菓子を良く知る、小麦愛に溢れる相棒・有美を迎え、「街ノ停留所」に実店舗をオープンしました。飽きのこない定番のパンから、地元農産品をつかったサンドウィッチやタルティーヌ。お菓子には使うことが難しかった野菜を生かしながら、何を作ろうか?旬の農作物に学び、日々試行錯誤しながら商品開発に勤しんでいます。『お菓子の12か月』を描くまで数年かかった様に、『パンの12か月』が描ける様になるにはまた数年かかりそうですが、少しずつ、大事に、愛すべき子たちを生み育てていきたいと思います。
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めくるめく、パンとお菓子の365日をお届けしたい。いつも変わらない美味しさをお約束します!